年頭のごあいさつ
日本漁船保険組合宮崎県支所 運営委員長 松浦 和繁
日本漁船保険組合宮崎県支所 運営委員長 松浦 和繁
様あけましてお目出とうございます。
本支所の業務に関しまして過ぎ去りました1年を顧りみますと昨年も色々なことがありました。
 まず、宮崎県漁船保険組合は創立79周年を区切りとして、4月1日に日本漁船保険組合宮崎県支所に生まれ変わりました。
 すなわち、全国45の保険組合と漁船保険中央会が統合し日本漁船保険組合が設立されました。この組織統合は漁船保険制度創設以来初めてとなる大規模な組織改革となりましたが、厳しい漁業環境の現状を見据え将来的に安定した事業経営を継続するために実現したものです。組織が全国組織になりましても、漁業者のための漁船保険たる理念は変わることなく、漁業者への保険サービスを第一と考え、今までにも増して充実したサービスを提供すべく職員一同業務を推進してまいる所存でございます。
 さて宮崎県支所となり旧組合の職員全員が支所の職員に、役員12名は運営委員(専務は支所長)に、総代24名は全員3月31日で退任され、新組合では全国1つの総代会(119名)となり当支所からは3名の総代が割当てられました。
 業務については当支所では、保険の引受、支払審査を中心に行う事となり、今まで通り漁協事務費交付金の支払や事故防止対策事業なども行います。
 このような中、平成29年度に於いては漁船事故防止と保険金の早期支払を最重点施策として業務を推進しました。
 また、今回の制度改正により戦乱等の危険の担保をすべての保険に導入し「戦乱等特約」として特約化されましたので、これの加入推進に努めた他、漁船の高船齢化(引受隻数の86%、1,810隻が船齢20年以上)が進んでいるため、事故防止対策事業として、漁船機関並びに電気設備整備点検事業を実施すると共に、衝突事故防止を図る目的で船舶自動識別装置(AIS)を設置した漁船96隻に対して411万円(前年度111隻、890万円)の保険料助成を行った。さらに今年2月から20t未満船については全ての乗船者に救命胴衣着用が義務化される事もあり、着用推進の為、救命胴衣購入者に対し購入額の半額(1着5,000円限度、5t未満2着、5t以上3着)(330着、137万円予定)を助成しました。
 さらに3年間無事故継続加入漁船に対して当支所上乗せ分として496隻、1,484万円と、新組織となり新たに全国共通分として漁船保険分1,005隻、2,089万円、PI保険等分990隻、218万円など合わせて3,791万円と前年度(351隻、975万円)の約4倍の額を交付して更なる無事故奨励を進めてまいります。
 この結果、平成29年度の引受実績は2,050隻、222億円と前年実績に比べ隻数に於いて55隻(△2.61%)減少しましたが、新船建造等もあり、引受金額に於いては5,200万円(0.23%)増加いたしております。
 一方、漁船保険事故は台風18号(9/17)が本県を通過し、台風5号(8/6)、21号(10/22)、22号(10/29)が本県の日向灘を北上して行ったが、これら4つの台風を合せて、その被害は小型船を中心に約80隻、1,900万円程度でありました。
 しかしながら、依然といたしまして自動操舵装置などの航海計器類に頼り過ぎ見張りを怠り衝突、座礁する運航上の不注意による事故も多く、殊に19t鮪船が足摺岬付近に座礁し門川に曳航上架するも全損となり、また14t鮪船が奄美大島南西海域にて横転し全損、更に磯建網船2隻(1t、3.1t)の転覆事故など、高船齢化に伴う火災事故等を含め乗組員の人命にも拘りかねない危険な事故も発生しています。
 これ等の事故を含め平成29年度の漁船保険金の支払は500件、4億4,000万円(平成28年度より2億2,500万円、105%増)に達するものと思われます。よって、今後共この種事故の再発防止と操業の安全につきまして指導してまいりたいと存じます。
 以上、平成29年度の業務執行の状況につきまして、申し述べましたが、次に新年度に実施いたします主なる事項につきまして簡単にご説明申し上げます。
 新組織となり2年目を迎えますが、前年同様「稼働動力漁船の全船加入、漁船事故防止の徹底した対策、乗船中の救命胴衣の着用の励行と保険金の早期支払い」を最重点施策といたしまして業務の推進に努め、漁船事故による損害の復旧と船主等の諸種の負担を軽減して漁業経営の安定に資するという本組合の使命達成のため全力を尽す所存でございますので、何卒皆様方のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 年頭にあたりまして、皆様のご健康と操業の安全並びに豊漁をお祈り申し上げご挨拶といたします。
GREETING