水産試験場

2 イセエビ 資源レベル「中位」資源動向「横ばい」

 イセエビは、そのほとんどが磯建網で漁獲され、禁漁期解禁直後の9〜10月に漁獲が集中しています。漁獲量は、1965年の142トンをピークに、近年では2007年から2012年まで減少傾向にありましたが、2013年以降緩やかな増加傾向にあります。
【評価内容と提言】
 資源レベルは、1970年からの資源量指標値(漁獲量)で直近の2015年は上位25%〜下位25%の間にあり、「中位水準」と判断されました(図3)。また、資源動向は、直近5年間の漁獲量の年変動率が県北部で3.2%の増加、県中部で8.4%の増加、県南部で1.3%の増加を示し、県全体の動向としては±5%以内で「横ばい」と判断されました(図4)。
 提言では、イセエビが沖合海域から移入して沿岸域に加入すると考えられることから、資源管理方策は、加入量増大及び生残率の向上のための藻場の造成や代替物の検討・設置、資源の効率的利用のために、小型個体の再放流を行うことで漁獲サイズの拡大を促す措置が考えられる、とされました。

3 ヒラメ 資源レベル「高位」資源動向「増加」

 ヒラメは、小型底びき網、刺網、小型定置網などで漁獲されています。漁獲量は約10年ごとにピークが見られ、近年では1996年の76トンをピークにした後2002年までは減少、その後若干の増加が見られ、直近2015年では27トンとなりました。
【評価内容と提言】
 資源レベルは、1997年からの資源量指標値(VPAによる推定資源量)で直近2015年は上位25%に入り「高位水準」と判断されました(図5)。また、資源動向は、直近5年間の推定資源量の年変動率が11.2%の増加を示し±5%の変化を超えていることから「増加」と判断されました(図6)。 
 提言では、放流種苗の資源添加状況が一定水準以上を保っていることから、加入後の若齢ヒラメの生育環境は悪くないと考えられるが、2005年以降の0〜1歳資源量が減少の後、低い水準で推移していると推定されることから、小型魚の再放流等による保護が重要である、とされました。
FISHERIES EXPERIMENT