水産試験場
「水産試験場資源部・増殖部」が宮崎日日新聞賞を受賞 −研究企画主幹−
ッテルボヤをご存じですか?これは東北地方で養殖の盛んな「マボヤ」と同じホヤの仲間で、宮崎県では主に北部沿岸の岩盤などに生息しています(図1)。大人の握りこぶしくらいの大きさで、二枚貝のように海水中の植物プランクトンなどをろ過して食べています。マボヤ同様に食用になるホヤで、県内では延岡市浦城町でのみ昔から食され、知る人ぞ知る珍味として親しまれてきました。
マボヤを食べたことのある方は、ホヤと聞くとクセのある独特の風味を想像するかもしれません。好きな人にはたまらないというこの風味ですが、はっきりと好みが分かれます。ところが、リッテルボヤはマボヤと対照的にクセのないあっさりとした食味で、アカガイにも似たこりこりとした食感と相まって何とも言えない美味しさです。地元の延岡市漁協が数年前に主催した試食会でも、参加者に大変好評だったと聞いています。

人工採苗技術の開発と実用化

延岡市浦城町の漁業者を中心に、10年程前から「リッテルボヤを地元の特産物に!」という気運が高まり、水産試験場ではリッテルボヤに関する調査・研究を平成13年度から開始しました。初めに延岡市熊野江町から浦城町にかけて行った生息調査では、本種の天然資源は継続して漁獲を行えるほど豊富ではなく、人工的な生産(養殖)が必要と考えられました。そこで、天然採苗による種苗の確保を試みましたがうまくいかず、人工採苗技術の開発に着手しました。  
リッテルボヤの産卵期は11月から翌年3月頃までで、この間に1個体あたり約27万個の卵を産みます(リッテルボヤは雌雄同体です)。水中で受精した卵は約1日後にはオタマジャクシ形をした幼生になり、泳ぎ回るようになります。さらに1日後には何らかの基質に付着して卵形に変態し、その後は一生その場所に固着して生活します(はっきりした寿命はわかっていませんが、人工採苗して養殖した個体で、現在までに5年近く生き残っているものもいます)。  
水産試験場では当初、自然産卵された卵を一度ふ化させるための水槽へ移し、ふ化した幼生を付着させる基質(採苗器)を入れた水槽(採苗槽)へ移す方法(図2−1)を開発して採苗を行っていましたが(平成14〜17年度)、現場での実施を見据えて作業の効率化を図るため、卵を採苗槽へ直接入れる方法(図2−2)を試みたところ、従来の方法(図2−1)と遜色のない結果が得られました(平成18〜19年度)。新しい採苗方法はこれまでの方法と比較して必要な施設や手間を大幅に省け、より実用的になりました。
図2 人口採苗方法の比較
FISHERIES EXPERIMENT